「ヨーロッパ最後の原生林」野生ハーブの収穫

海外から運ばれてくる場合も多いハーブ。ハーブを採集する現場とはどんな様子なのでしょう? 野生のハーブを採集しているポーランド東部の情報がありました。

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野生のハーブを採集するって?

米国のハーブ会社Traditional Medecinalsの記事に紹介されているのは、ポーランド東部の町ハイヌフカにあるハーブ会社Runoです。Runoは、地元の人たちが採集した野生のハーブを買い取っています。採集場所は「ビャウォヴィエジャの森」の周辺に広がる草地です。

ヨーロッパ最後の原生林「ビャウォヴィエジャの森」とは?

「ビャウォヴィエジャの森」は「ヨーロッパ最後の原生林」と呼ばれている森。ポーランドとベラルーシの国境に位置し、希少なヨーロッパバイソンやオオカミ、ヤマネコなどが棲んでいます。なんと1400年代から保護活動が行われているのだとか。現在はユネスコの世界自然遺産に認定されています。

(ちなみに、この森は今、ポーランドが森の中に壁を建設していることで話題です。ベラルーシを経由してやってくる中東からの移民を遮るためで、人権団体や環境団体による反対運動が展開されています。世界遺産の森を破壊する国境の壁、ポーランドが建設開始

持続可能な採集方法でフェアワイルド認証を取得

ビャウォヴィエジャの森の周辺で穫れるのは、ダンディライオンやメドウスイート、ネトルなどのハーブです。Traditional Medecinalsの記事で写真をみると、色濃い森の手前に広い草地が広がっています。

豊かな森のめぐみは地域の人達の生活を支える宝でもあります。Runoは、フェアワイルド認証を2009年に取得。伝統的で持続可能な収穫方法がとられているそうです。

フェアワイルドとは?↓↓

フェアワイルドは、私たちが野生の植物を持続可能な形で利用するための仕組みです。採集や取引、利用の際に守るべき「基準」と、その基準を満たした原料・製品のための「認証制度」を提供しています。

トラフィックイーストアジアジャパン

課題は「次世代への継承」

ただ、Traditional Medicinalsの記事が指摘するのが、「収穫方法の継承」に課題があるという点。

地元の方々が草地でハーブを採集し、Runoに納入していますが、彼らの9割が60〜80代。若者は良い仕事を求めて都市に流出していて、リタイアした方々や失業した方々が中心だといいます。

ダンディライオンの長くて太い根を採集するにはコツがいるはずですし、トゲトゲしたネトルもご苦労がありそうです。持続可能な方法で続けられる野生ハーブの収穫。高齢の方の収入源となっている一方で、後継者の育成が求められているようです。

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